かっちゃんの日記

 -見て、聴いて、楽しかったこと、嬉しかったことの覚え書きです

2016年12月はお休みでした

少し前から体調を崩し、現在ゆっくり回復中です。
12月に行きたいと思っていた公演の備忘録を書いておこうと思います。
大事なく過ごせる日常をしみじみとありがたく思う毎日です。ごはんも美味しい!
来年も無理はせず、でも小気味よく行動したいと思います!

 

国立能楽堂 十二月 普及公演(2016年12月10日)
・解説・能楽あんない|乱世の能作者・観世信光 松岡心平
狂言大蔵流】|縄綯(なわない)
・能【観世流】|胡蝶

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国立能楽堂の案内ちらしをお借りしました。
 「紅地花入蜀江模様厚板」より

<公式サイトへのリンク>
国立能楽堂 2016年 12月普及公演 縄綯・胡蝶

 

国立劇場開場50周年記念 12月文楽公演(12月3日~19日)

通し狂言 仮名手本忠臣蔵

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国立劇場の案内ちらしをお借りしました
 左「仮名手本忠臣蔵」大星由良助
 右「仮名手本忠臣蔵」三段目 殿中刃傷の段(いずれも撮影:青木信二)

<公式サイトへのリンク>
12月文楽公演『通し狂言 仮名手本忠臣蔵』

2016年11月 国立能楽堂 普及公演|二人袴・三笑

国立能楽堂 十一月 普及公演(2016年11月12日)
・解説・能楽あんない|仙境への憧憬―能「三笑」を巡って 林望(約30分)
狂言大蔵流】|二人袴(約40分)※終了後、休憩20分
・能【観世流】|三笑(約60分)

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国立能楽堂の案内ちらしをお借りしました。
 白地青海波紅葉模様摺箔(江戸時代・十八世紀・国立能楽堂蔵)

「二人袴(ふたりばかま)」は、息子と付き添いの父親が、息子のお嫁さんの父親(舅)に初めて会いに行く聟(むこ)入りの様子が繰り広げられます。話の流れが明解で、必死で頑張る息子と父親の動きも理屈なく楽しめました。

「三笑」は、絵画や水墨画のテーマにもなることも多い「虎渓三笑図」の世界が描かれています。中国の晋の時代、慧遠、陶淵明、陸修静の3賢者が、慧遠が修行している廬山の麓にて、酒を酌み交わし、三人で舞い、再会を喜んで大いに楽しみます。気心の知れた、きっと皆まで言わなくてもわかる友達と、お酒を飲みながら時間が経つのも忘れて話をするのは、いつの時代でも楽しそう~。
その後、慧遠は2人を送っていく帰り道に、修行のためここからは出ないと言っていた虎渓をうっかり出てしまうのですが、そこで3人が笑い合う場面で終わります。「やってもた~、今のナシ!」、「まぁしょうがないな、見逃したるわ」って感じでしょうか。
3賢者の相舞は、必然的に密な間隔で舞うので緊張感もあり、それぞれ少しずつ動きが違うのにも見入ってしまいました。また後半は笛がずっと鳴っている感じで、聴き応えがあります。
また仏教(慧遠)と儒教陶淵明)と道教 (陸修静)の3賢者が集っているという背景について知ることができ、「虎渓三笑図」を見るときの新しい楽しみもできました。自分の体験がきっかけになって、頭の中にある断片がつながって、それぞれの理解がより深まるのは、小っこいことでも嬉しいです。

<メモ>
国立能楽堂の中には食堂がありますが、堂内に何箇所か設けられている休憩スペースで、開演前や休憩中に軽い食事を取られている方も多いです。ただ大きな劇場での歌舞伎や文楽の公演のように、皆で幕間弁当を楽しむような場の雰囲気ではありません。私も時々、おにぎりやサンドイッチを持ち込むことがありますが、少し早めに到着して、人が少ない時にいただいて、その後、ゆっくり資料展示室や中庭を見学するのが、わりあい落ち着いて良いかなと思います。

<公式サイトへのリンク>
11月普及公演 二人袴・三笑

2016年10月 国立能楽堂 普及公演|菊の花・熊坂

国立能楽堂 十月 普及公演(2016年10月8日)
・解説・能楽あんない|盗賊外伝-「熊坂」と街道の伝承 田中貴子(約30分)
狂言和泉流】|菊の花(約20分)※終了後、休憩20分
・能【喜多流】|熊坂(約70分)

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国立能楽堂の案内ちらしをお借りしました。
 白地菊花模様袷法被(江戸時代・十八世紀・国立能楽堂蔵)

「菊の花」は、太郎冠者が京の都で遭遇した出来事を主人に語るお話です。北野の天神さんで見た雀とカラスの鳴き声をまねする場面や、祇園参り行く身分の高い御一行様に合流し、最後にそこを立ち去るときに捕まったくだりを語る場面やそのしぐさは、くすっと可笑しかったけど、全体の話としては高位の人が下位の人を小馬鹿していてちょびっと複雑な気持ちも残ります。でも太郎冠者はそういうことを超越していて、あるいは上手を行っていて、なんやかんやでけっこう楽しまはったと解釈すればよいのかな~?

「熊坂」は、盗賊の熊坂長範が主人公です。前場では、名を伏せて僧の姿(前シテ)となって、後場では、亡霊(後シテ)となって薙刀を持って現れ、牛若丸に返り討ちにあって命を落とした様子を旅の僧(ワキ)に語り、成仏できるように回向を頼みます。薙刀を振るって、戦いを語る場面は緊張感がありますが、最後に薙刀を投げ捨て、素手で戦った末に討たれ、力なくそっと消えていくところがなんとも寂しげで印象的でした。
シテ「次第次第に重手は負ひぬ」
地謡「次第次第に重手は負ひぬ、猛き心力も弱り、弱り行きて」
シテ「この松が根の」
地謡「苔の露霜と、消えし昔の物語、末の世助け賜び給へと、木綿付けも告げ渡る、夜も白々と赤坂の、松陰に隠れけり、松陰にこそは隠れけり」

<メモ>
国立能楽堂の建物がとても好きです。設計は大江宏で1983年の竣工。能舞台だけでなく、玄関や広間の天井、廊下の壁もほんまにきれいで、見どころがたくさんです。特にこの日は雨が降っていたので、中庭の苔がしっとりとしてなんとも落ち着きました。萩の花も咲いていて、すっかり秋やな~。

<公式サイトへのリンク>
国立能楽堂 2016年 10月普及公演 菊の花・熊坂

2016年9月 国立劇場 文楽公演|通し狂言 一谷嫰軍記・寿式三番叟

国立劇場 第一九六回文楽公演 平成二十八年九月より(9月3日~19日)

<第一部>
・並木宗輔=作
 通し狂言 一谷嫰軍記
 初段 堀川御所の段・敦盛出陣の段〈約1時間30分※終了後、休憩30分
 二段目 陣門の段・須磨浦の段・組討の段〈約1時間30分※終了後、休憩10分
     林住家の段〈約1時間15分

<第二部>
国立劇場五十周年 寿式三番叟約42分※終了後、休憩15分
・通し狂言 一谷嫰軍記
 三段目 弥陀六内の段・脇ヶ浜宝引の段〈約1時間〉※終了後、休憩30分
     熊谷桜の段・熊谷陣屋の段〈約1時間50分〉

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国立劇場の案内ちらしをお借りしました
 左「一谷嫰軍記」熊谷次郎直実、右「寿式三番叟」翁(いずれも撮影:青木信二)

国立劇場開場50周年を記念してさまざまな公演が組まれていますが、文楽は「一谷嫰軍記(いちのたにふたばぐんき)」の通し狂言と「寿式三番叟」でした。
本当は、通しを一日で観るのがよいのだろうなと思いながらも、体力的に持たない気がして、二日に分けました。今回も良い席はあっという間に埋まったようで、後ろの方の席だったのですが、照明が良くなったのか、私の目が良くなったのか(?)、人形の顔がより立体的に見えるようになった気がしました。何にしても後ろの方でも十分に楽しめました。

「一谷嫰軍記」は、推理小説のような展開のお話です。熊谷次郎直実が平敦盛を殺したということで、またその時の様子もしっかりも描かれた上で、話が進んでいくのですが、三段目の熊谷陣屋の最後に、熊谷次郎直実が殺したのは実は息子の小次郎だったという真実を自らが語ります。
「ハテ最前も話した通り、手負ひと偽り、無理に小脇にひん挟み連れ帰つたが敦盛卿。また平山を追いつ駆け出でたを呼び返して、首討つたのが小次郎さ。知れた事を」
ほんならあの二段目の陣門の段は・・、組討の段は・・、ええーっ?!と、頭の中を行きつ戻りつして、そういうことだったのか、そう言われてみれば、と物語の全貌が明かされることになります。

直実の言葉を受けた妻・相模のエ、胴欲な熊谷殿。こなた一人の子かいなう。逢はう逢はうと楽しんで百里百里来たものを、とつくりと訳も言わず、首を討ったのが小次郎さ。知れた事をと没義道に、叱るばかりが手柄でもござんすまい」は、何回聴いてもじーんとします。そやそや、言うたれ、言うたれ!と加勢したくなります。でもこれが忠義でむしろ喜ぶべき誇らしいことになる封建社会の悲しさ。くーっ。 

初段・二段目は和生さんが大活躍!敦盛→小次郎→乳母 林と遣われていて、こんな配役もあるんですね。また三段目の清十郎さんが遣われた相模が印象的で、我が子への思いを切々と感じました。

「寿式三番叟」は三番叟の二人がハツラツとした動きで小気味よかったです。玉勢さんと蓑紫郎さん。足を踏み鳴らすのに合わせて、三番叟が首で拍子を取っているのが楽しげ。私にも鈴を振ってほしい。テテッテテ、テテッテテ、テッテ、テッテ、テッテ、テッテ♪

<メモ>
今回の第一部はお昼時に30分休憩があったので、お気に入りのパン屋さんでサンドイッチを買って持っていきました。国立劇場は、休憩時間中は客席内でも飲食が可能です。(酒類は禁止。また匂いの強いものは避けるなどマナーは守る!)劇場内の無料のお休み処や、ロビー内のベンチで食べることもできますし(混み合うことも多いです)、もちろん食堂、売店もあります。
チケットを提示すれば、休憩時間中に外にも出られるので、季節が良ければ劇場の外にあるベンチで外の風にあたるのも、幕間の気分転換におすすめです。また休憩時間に行われる緞帳の披露と解説も楽しみなのです。
国立劇場サイト内 観劇マナー入門 Q&A

<公式サイトへのリンク>
国立劇場 2016年 9月文楽公演

2016年9月 国立能楽堂 普及公演|伊文字・玉鬘

国立能楽堂 九月 普及公演(2016年9月11日)
・解説・能楽あんない|「玉鬘」の狂相と悟り 西村聡(約30分)
狂言大蔵流】|伊文字(約35分)※終了後、休憩20分
・能【観世流】|玉鬘(たまかずら) (約80分)

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国立能楽堂の案内ちらしをお借りしました。
 薄紅葱地籠目花丸模様唐織(江戸時代・十九世紀・国立能楽堂蔵)

「伊文字」は、自分が人から聞き損ねた言葉を、なんで見ず知らずの通行人に尋ねるんやと思わずにはおれないのですが、通行人もしゃあないなと、「 いの字のついた国の名 ♪」、「 いの字のついた里の名 ♪」と唄いながら、踊りながら、答えを探していく様子が楽しかったです。ブツクサ言いながらも、1回やってみる、しかもやると決めたらノリノリで、ほんなら結構楽しかったりするでの精神(かどうかはわからんけど)は見習おう。

「玉鬘」はすごく好きな演目。派手な動きはないけれど、地謡も心地良く、最後、シテが顔を少し上げたときに、少しだけ笑みを浮かべているように見えたのが印象的でした。ホンマにそう見えた!能面は中間表現で、その場面や、演者の動きや、観る人の気持ちで表情が変わると聞くけれど、それを体感しました。玉鬘にはそんなことで苦しまなくてよいよと言ってあげたいな。

また冒頭の解説・能楽あんないで、「玉鬘」の背景となる源氏物語について詳しく説明があり、古典の素養がそれほどない私にとってはすごく有難かったです。アイが話していることもしっかり理解できました。

<公式サイトへのリンク>
国立能楽堂 2016年 9月普及公演 伊文字・玉鬘

2016年7月 国立能楽堂 普及公演|蚊相撲・巴

国立能楽堂 七月 普及公演(2016年7月9日)
・解説・能楽あんない|義仲を追い続ける巴 表きよし(約30分)
狂言和泉流】|蚊相撲(約35分)※終了後、休憩20分
・能【金春流】|巴(約75分)

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国立能楽堂の案内ちらしをお借りしました。
 近江八景図 矢走(今村紫紅筆・大正元年・重要文化財東京国立博物館蔵)

 

蚊相撲」のアド/蚊の精は、なんだか動きに見覚えがあり、4月の狂言の会で「武悪」を演じた方ではなかろうかと思ったら、やっぱりそうやった!野村又三郎さん。
愉快なお話やったけど、よくこんな設定を思い付くな~。蚊の精て。相撲取るて。

「巴」は平家物語で知る巴御前の勇ましいイメージとは少し違っています。力強い場面もありますが、どこかはかなげでもあり、寂しさを感じるお話でした。

<公式サイトへのリンク>

国立能楽堂 2016年 7月普及公演 蚊相撲・巴

2016年6月 国立能楽堂 普及公演|水掛聟・藤戸

国立能楽堂 六月 普及公演(2016年6月11日)
・解説・能楽あんない|戦の悲しみと武士の心 佐伯真一(約30分)
狂言大蔵流】|水掛聟(みずかけむこ)(約25分)※終了後、休憩20分
・能【観世流】|藤戸(約75分)

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国立能楽堂の案内ちらしをお借りしました。
 水浅葱地入子菱丸紋散模様厚板(桃山時代・十六~十七世紀・国立能楽堂蔵)

 

えらいこと間が空いてしまいましたが、何事も遅すぎることはないということで、できるようになったならすぐ再開するぞ。
「水掛聟」は擬音語が楽しかったです。田んぼに水が入ってくるときの「ガワッ、ガワッ、ガワガワガワッ」が、もうこの状況を言い表すにはこの言葉しかない!という感じで、田んぼでの光景がありありと思い起こされました。日本語の面白さに改めて気づかされる狂言でした。

「藤戸」は、シテの立ち上がる、しゃがむ、くずれ落ちるという所作に見入ってしまいました。特別な所作ではなく、もちろん演者自体の表情は見えないのだけれど、怒り、悲しみ、やるせなさが、こんなにもにじみ出るものなのかと感動しました。

<メモ>
国立能楽堂から徒歩10分くらいのところにある「MOKUBAZA」にてキーマカレーを食す。美味い!

<公式サイトへのリンク>
国立能楽堂 2016年 6月普及公演 水掛聟・藤戸