かっちゃんの日記

 -見て、聴いて、楽しかったこと、嬉しかったことの覚え書きです

2018年1月 国立能楽堂 普及公演|伯母ヶ酒・土蜘蛛

国立能楽堂 一月 普及公演(2018年1月13日)
・解説・能楽あんない|能・狂言の妖怪たち
           ―人間との共存を廻って-三浦裕子(約30分)
狂言大蔵流】|伯母ヶ酒(おばがさけ)(約30分)※終了後、休憩20分
・能【金剛流】|土蜘蛛(約60分)

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国立能楽堂の案内ちらしをお借りしました。
白地立湧寿若松模様半切(江戸時代・十九世紀・国立能楽堂蔵)

 

2018年最初の観劇は国立能楽堂でした。今年も健康に気を付けて、しっかり働いて、小気味よく行動できるように頑張るぞ!

まずは狂言の「伯母ヶ酒」からです。酒屋を営む伯母のところへ酒好きの甥が訪ねてきて、酒を飲ませてもらおうとあの手この手で交渉しますが、断られてしまいます。怒った甥は「最近この辺りに鬼が出るぞ」と言い残していったんその場を立ち去ります。ほどなく、鬼の面を付けた甥が再び現れ、伯母を脅して酒蔵にこもりました。やっと酒にありつくことができたのですが、酔いがまわって眠ってしまい、静かになった酒蔵を伯母が覗くと寝ている甥の姿を発見!というお話です。

酒を飲むのに鬼の面がじゃまになり、寝転がって膝を立てて膝頭に鬼の面を付け、膝を動かしながら伯母を脅す文句を言うのですが、それどう見ても無理やで!と突っ込んでくすくすと笑ってしまいました。楽しい初笑いとなりました。

 
続いてお能は「土蜘蛛」です。体調のすぐれない源頼光のところへ侍女の故蝶が薬を届けにきます。そしてその夜、一人の僧が現れ、突然、頼光に蜘蛛の糸を投げかけます。頼光が枕元にあった刀「膝丸」で僧を斬り付けたところ僧は逃げていきました。騒ぎを聞いて家臣の独武者が駆け付け、残った血の跡を辿って従者と伴に退治に向います。

独武者たちは塚に辿り着き、その塚を崩そうとしたところ、土蜘蛛が姿を現し、自分はこの葛城山に長く住む土蜘蛛であると告げます。そして、蜘蛛の糸を投げかけて、独武者たちの手足に纏わりつかせて苦しめますが、最後は独武者が土蜘蛛の首を討ち落とし都へ戻っていくのでした。

最後の場面で、土蜘蛛は何度も何度も蜘蛛の糸を投げかけるのですが、なぜかここでうるっときてしまいました。こんな風に戦わなければいけなかったのか、うまいこと共存することはできなかったのかと、しゅたーっ、しゅたーっと投げかけられる蜘蛛の糸の迫力に圧倒されつつも、土蜘蛛のやるせなさのようなものも感じたお能でした。

年の始めから良い体験をさせていただき、今回もありがとうございました。

 

<メモ>
国立能楽堂の資料展示室では「能の作リ物」が開催中でした。前期(1月6日~2月18日)と後期(2月27日~3月25日)で展示が変わるようです。
江戸時代には「作リ物師」という専門の職人さんが作っていたそうですが、現在では能楽師が作られることが多いそうです。知らんかった!
作リ物の材料、寸法、仕様、作り方などを伝えるための解説書やきれいに彩色された図面やスケッチ、実際の作リ物も展示されていて興味津々で見学させていただきました。また今回はカラー12ページの案内パンフレットが配布されていましたよ。わーい!1部いただいてきたので、また読み返そうと思います。こちらもありがとうございます。

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国立能楽堂の案内パンフレットをお借りしました。

 

 <公式サイトへのリンク>
国立能楽堂 2018年1月普及公演