かっちゃんの日記

 -見て、聴いて、楽しかったこと、嬉しかったことの覚え書きです

2016年10月 国立能楽堂 普及公演|菊の花・熊坂

国立能楽堂 十月 普及公演(2016年10月8日)
・解説・能楽あんない|盗賊外伝-「熊坂」と街道の伝承 田中貴子(約30分)
狂言和泉流】|菊の花(約20分)※終了後、休憩20分
・能【喜多流】|熊坂(約70分)

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国立能楽堂の案内ちらしをお借りしました。
 白地菊花模様袷法被(江戸時代・十八世紀・国立能楽堂蔵)

「菊の花」は、太郎冠者が京の都で遭遇した出来事を主人に語るお話です。北野の天神さんで見た雀とカラスの鳴き声をまねする場面や、祇園参り行く身分の高い御一行様に合流し、最後にそこを立ち去るときに捕まったくだりを語る場面やそのしぐさは、くすっと可笑しかったけど、全体の話としては高位の人が下位の人を小馬鹿していてちょびっと複雑な気持ちも残ります。でも太郎冠者はそういうことを超越していて、あるいは上手を行っていて、なんやかんやでけっこう楽しまはったと解釈すればよいのかな~?

「熊坂」は、盗賊の熊坂長範が主人公です。前場では、名を伏せて僧の姿(前シテ)となって、後場では、亡霊(後シテ)となって薙刀を持って現れ、牛若丸に返り討ちにあって命を落とした様子を旅の僧(ワキ)に語り、成仏できるように回向を頼みます。薙刀を振るって、戦いを語る場面は緊張感がありますが、最後に薙刀を投げ捨て、素手で戦った末に討たれ、力なくそっと消えていくところがなんとも寂しげで印象的でした。
シテ「次第次第に重手は負ひぬ」
地謡「次第次第に重手は負ひぬ、猛き心力も弱り、弱り行きて」
シテ「この松が根の」
地謡「苔の露霜と、消えし昔の物語、末の世助け賜び給へと、木綿付けも告げ渡る、夜も白々と赤坂の、松陰に隠れけり、松陰にこそは隠れけり」

<メモ>
国立能楽堂の建物がとても好きです。設計は大江宏で1983年の竣工。能舞台だけでなく、玄関や広間の天井、廊下の壁もほんまにきれいで、見どころがたくさんです。特にこの日は雨が降っていたので、中庭の苔がしっとりとしてなんとも落ち着きました。萩の花も咲いていて、すっかり秋やな~。

<公式サイトへのリンク>
国立能楽堂 2016年 10月普及公演 菊の花・熊坂