かっちゃんの日記

 -見て、聴いて、楽しかったこと、嬉しかったことの覚え書きです

2016年11月 国立能楽堂 普及公演|二人袴・三笑

国立能楽堂 十一月 普及公演(2016年11月12日)
・解説・能楽あんない|仙境への憧憬―能「三笑」を巡って 林望(約30分)
狂言大蔵流】|二人袴(約40分)※終了後、休憩20分
・能【観世流】|三笑(約60分)

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国立能楽堂の案内ちらしをお借りしました。
 白地青海波紅葉模様摺箔(江戸時代・十八世紀・国立能楽堂蔵)

「二人袴(ふたりばかま)」は、息子と付き添いの父親が、息子のお嫁さんの父親(舅)に初めて会いに行く聟(むこ)入りの様子が繰り広げられます。話の流れが明解で、必死で頑張る息子と父親の動きも理屈なく楽しめました。

「三笑」は、絵画や水墨画のテーマにもなることも多い「虎渓三笑図」の世界が描かれています。中国の晋の時代、慧遠、陶淵明、陸修静の3賢者が、慧遠が修行している廬山の麓にて、酒を酌み交わし、三人で舞い、再会を喜んで大いに楽しみます。気心の知れた、きっと皆まで言わなくてもわかる友達と、お酒を飲みながら時間が経つのも忘れて話をするのは、いつの時代でも楽しそう~。
その後、慧遠は2人を送っていく帰り道に、修行のためここからは出ないと言っていた虎渓をうっかり出てしまうのですが、そこで3人が笑い合う場面で終わります。「やってもた~、今のナシ!」、「まぁしょうがないな、見逃したるわ」って感じでしょうか。
3賢者の相舞は、必然的に密な間隔で舞うので緊張感もあり、それぞれ少しずつ動きが違うのにも見入ってしまいました。また後半は笛がずっと鳴っている感じで、聴き応えがあります。
また仏教(慧遠)と儒教陶淵明)と道教 (陸修静)の3賢者が集っているという背景について知ることができ、「虎渓三笑図」を見るときの新しい楽しみもできました。自分の体験がきっかけになって、頭の中にある断片がつながって、それぞれの理解がより深まるのは、小っこいことでも嬉しいです。

<メモ>
国立能楽堂の中には食堂がありますが、堂内に何箇所か設けられている休憩スペースで、開演前や休憩中に軽い食事を取られている方も多いです。ただ大きな劇場での歌舞伎や文楽の公演のように、皆で幕間弁当を楽しむような場の雰囲気ではありません。私も時々、おにぎりやサンドイッチを持ち込むことがありますが、少し早めに到着して、人が少ない時にいただいて、その後、ゆっくり資料展示室や中庭を見学するのが、わりあい落ち着いて良いかなと思います。

<公式サイトへのリンク>
11月普及公演 二人袴・三笑