かっちゃんの日記

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2018年2月 熊谷守一 生きるよろこび|東京国立近代美術館

◆没後40年 熊谷守一 生きるよろこび
 2017年12月1日〜2018年3月21日
 東京国立近代美術館

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※会場出口付近のフォトスポット。
 「猫」1965年 愛知県美術館 木村定三コレクション


国立劇場文楽を鑑賞した後、てくてくと散歩を楽しみながら東京国立近代美術館の、熊谷守一の展覧会に行ってきました。

熊谷守一1880年明治13年)に岐阜県で生まれ、1977年(昭和52年)に97歳でその生涯を終えますが、今年は没後40年にあたるということで、今回の回顧展が開催されたそうです。何がきっかだったかは忘れてしまったのですが、以前からとても好きな画家で、今回もとても楽しみにしていました。

会場構成は、「1章:闇の守一(1900~1910年代)」、「2章:守一を探す守一(1920~1950年代)」、「3章:守一になった守一(1950~1970年代)」に分かれていて、約200点の作品が展示されていました。

1章では、暗闇や暗い環境での光の表現を追及した写実的な作品が並びます。次の2章では、モチーフも表現方法もさまざまな作品が並びますが、そこから晩年の画風が少しずつ確立されていく過程を見ることができました。日の光があたる山の稜線を赤い線で表現する作品など光と影の追及はここでも続いています。

最後の3章では身近なものをシンプルな線と色で表現したよく知られる画風の作品が並びます。その中で、1956年に描かれた「ヤキバノカエリ」という作品が印象に残っています。若くして亡くなった長女の遺骨を持って家族3人が家に帰る風景を描いた作品です。この作品も人や道は単純化して描かれており、どこか飄々とさえする雰囲気もあるのですが、悲しいとか寂しいとかいうこととは少し違って、もうこの世にいないんだという事実や気持ちも純化されているように感じました。

冒頭写真の猫をはじめ、猫だけが並ぶスペースや、ちょうちょ、とんぼ、魚、たまご、お餅など、小さくて愛着のあるものたちが、わらわらと並ぶスペースは、思わず顔がほころんでしまいます。小さいお子さんもニコニコして見ていました。要所要所に設けられた解説も丁寧で、熊谷守一を知らない人も知っている人も、誰もが楽しめる展覧会だと思いますので、ぜひおすすめします。周辺の公園の桜はもう少し先ですが、春の兆しも感じられると思います!

 

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※記念にポストカードを何枚か購入しました。わーい!
(上)熊谷守一《向日葵》1957年頃 静岡近代美術館 大村明
(下)熊谷守一《稚魚》1958年 天童市美術館

 

<公式サイトへのリンク>
没後40年 熊谷守一 生きるよろこび 特設サイト(東京国立近代美術館)